この大時計は彼の「揺り籠」であり「牢屋」であり「棺桶」であるのさ。
軍人である大佐のお屋敷には、様々な年代の武器や機械やロボットがコレクションされていますが、
その中でも特に目を引くのが、リビングの大時計に飾られた等身大のオートマタです。
彼は名前が無いので(問いかけてもはぐらかされて答えてくれません)、屋敷の人は「時計の男」と呼んでいます。
大佐やレオは彼を骨董品として愛でていますが、時折、捕えた罪人に対するように残酷な目を向けています。
そんな時、時計の男は普段より少し声を荒げて恨み事を返すのです。
一度、お嬢様が時計の男に「貴方は誰?」「どうしてここにいるの?」と聞いた事があります。
彼は「私はある天使のような女性に作られたオートマタなのだが、
彼女の所業があまりにも悪魔的だったから、こんな所に捕えられてしまったのだよ。
だが一つ言えるのは、私の技術があったからこそ、あの鋼鉄製の使用人達がいるという事だ。」
と答えました。
私にはさっぱり意味が理解できませんでしたが、それ以来お嬢様は時計の男に妙に懐いているようです。
17th Oct, 2013