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僕達の母様は、気が付いた時にはいなかった。

僕達が姫の遊び相手という役目があった時は、その空席は大して気にならなかった。

姫の遊び相手から、城の雑用係になった時に、空席の理由を聞いた。

女王陛下は驚いた顔で僕等を見つめ、はらりと涙を流して呟いた。

「…貴方達を産んで、すぐに………あの子は……」

そして、僕等のためにその身を屈め、風の音より小さく囁いた。

「…ロザリー……貴方達の母親は、王の妹君………誰にも言っては駄目よ。」



その夜、メリクは薬指を傷つけて言った。

「ねぇカリナ、この血には…“ロイヤル”の名がついてるんだよね?

ならどうして、私達は“ロイヤル”を名乗れないの?」



すぐに僕達は、母様が死んだ時の事を知ろうとした。

お葬式の話はすぐに見つかったけれど。

埋められた場所も、死んだ理由さえも分からない。

―――若くして亡くなる妹姫―――病気か―――毒殺か―――賢く美しい姫が何故?―――

そして、一枚のゴシップ誌。

―――ロザリー様は許されざる恋の果てに処刑された?―――

悲劇的なアオリ 情熱的な憶測 背徳的な恋人と見え隠れする私生児の影…



その単語を見て、僕の目から一粒の涙が落ちた。

理由は分からない。

違う。理由は分かっている。認められないだけ。




何故母様は死んだ?

何故母様の死の情報が無い?

何故王家の血を引く僕達がここにいる?

何故父様は母様を愛した?

何故父様はいない?



その日から、僕達は決意をした。





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3rd Jan, 2009


* B a c k *